今日は近代美術の授業の宿題レポートを執筆した。(まだ完成していない)
私に課されたお題はルネサンスを代表する画家ボッティチェリの「誹謗」という作品。
個人的にはボッティチェリの「ヴィーナス誕生」が断トツで好きなので、ウフィツィ美術館に行った時もそちらばかりを鑑賞してしまった。(「誹謗」は陰気で暗い作風だからあまり印象に残らなかった。)
同じ画家が描いた作品なのに雰囲気がまったく異なる理由が気になったので、そのことを考察することにした。
↓レポートを作るにあたってのメモ
01 基本的情報LE PROBLEM DE TECHNIQUE
-nom de l'oeuvre: la calomnie誹謗
-作者: Sandro Botticelli(1445-1510)
-date de l'oeuvre: 1497
-展示場所: Gallarie degli Uffizi
-matérieur de l'oeuvre: détrempeテンペラ sur panneau
-pour qui : Antonio Segni qui est un grand ami de Botticelli
02 LE STYLE
-inspiration:
le peinture de Apelle, le peintre hellénique古代ギリシャの, qui s'appele
la calomnie. Mais il était perdu donc Botticelli a consulté参考にする la description grec de Lucien et la description(
De Pictura絵画論,1437) d'Alberti.
Apelleはエジプト王に仕えていた。ライバル画家から謀反事件に加担したと中傷されて斬首の刑に処せられそうになるが、罪が晴れて王が謝罪したという出来事があり、la calomnieのテーマとなっている。
アレゴリー、人物配置は全てパロディ
-composition
人物をパネルの下半分に納め、上半分には建物しか描かれていない。このため10人もの登場人物がいるにもかかわらず無秩序な印象を与えず広々とした空間構成に成功している。
-l'allégorie:
tout les personnages dans l'ouvre sont allégorie.
A l'injustice不正 →le roi Midas
B l'ignorance無知
C le soupçon疑惑
D l'envie嫉妬 王の目に向かって手を突き出し真実が見えないようにしている
E la calomnie
F le duperie欺瞞
G la trahison裏切り 嘘を優美に取り繕っている
H l'innocence無実 →Apelle ou Botticeli
I le remords良心の呵責
J la vérite真実
-pespective
建物の外は青一色で、paysageは描かれていない。そのためperspectiveは建物に施されているものが目立つ。一点透視図法。
-couleur
全体的にあまり派手な色は使用されておらず、厳か。
そのため王の赤、誹謗の青、裏切りのピンク、良心の呵責の黒が目を引く。特に裏切りのピンクと良心の呵責が目立っているように思える。
作品の題名である誹謗を示す女性よりも、彼女を飾り付けている裏切りの擬人の方が目立つ色彩にされている。構図的にも、彼女は作品の中央に配置されており、ポーズも最も動きがあり、最も強調されている。
-bâtiment
--une vaste salle entourée de portiques柱廊 est une parodie de la salle ornée飾る des reliefs et des statues.
--collonnes →inspiré par des reliefs antiques?
03 L'ANALYSE CRITIQUE
-botticelliの作風の変遷
dérniere anne, je suis allée à la Galerie des Offices et ai vu cet oeuvre. Iy y a beaucoup d'oeuvres de Botticelli dans la galerie et ヴィーナス誕生が最も印象に残った。誹謗は色彩が暗く、特に気に留まらなかった。
ボッティチェリの作風には三段階があり、ヴィーナス誕生は中期、誹謗は後期の作品である。ここからはこの二つの作品を比較して、彼の作風の変遷を考察してみようと思う。
--中期:
1480年代。
ses oeuvres les plus célébres sont de cet époque.
l'humanisme
甘美性の高い。
異教的(ギリシア神話)
新プラトン主義→
柔らかいligne
ルネサンス的(優美、官能的、華やか
--後期: の作風には二つの出来事が影響している。
①親友かつパトロンであったロンツォ豪華王を失った精神的、社会的孤立。
②ドミニコ会修道士であるジオラモ・サヴォナローラの神秘主義との出会い
サヴォナローラとは失墜したメディチ家に代わってフィレンツェ共和国を設立して政治顧問として神権政治を執り行った人物。
この時期フィレンツェにはフランス軍が侵入してきたり、サヴォナローラによって贅沢品とされる芸術品の焼却処分(le bûcher des Vanités)が行われるなど、殺伐とした時代であった。
ボッティチェリはサヴォナローラを支持し、禁欲的で厳かな作品を描くようになる。
→後期の作品の特徴
・神秘的な瞑想と緊張感
・禁欲的
・硬質的な表現 ex. ligne, couleur, visage
しかし、徐々にサヴォナローラの反対派が勢力を増すようになり、彼を支持していたボッティチェリは批判されるようになる。
この時期に「誹謗」は製作された。
02のcouleurで述べたように、ボッティチェリは10人の登場人物の中で裏切りを最も強調したかったのだと思われる。
」
「裏切り」の示すもの
①サヴォナローラへの政治に対する批判
②サヴォナロール党とみられた自分への批判
③同性愛者として二度も告発されたこと
--la comparasion entre deux femmes nues
la naissance de Vénus est aussi inspirée par Apelle. Botticelli se référe参照する à des œuvres d'Apelle sur le thème de la Vénus sortie des eaux.
①ヴィーナス誕生の裸婦の特徴
symbole sexuel: non seulement la féminité incarnée化身した navigue立ち回る sur sa conqueホタテガイ, telle son écrin小箱 d'une blancheur清純さ de nacre真珠の色, mais de plus la forme de ce coquillage constitue la métaphore de sa vulve外陰部, comme sa blancheur清純さ celle de l'hymen処女膜.
Vénus est nue, c'est une revelation暴露 de la Beauté et de la Grâce気品 féminine sur la scène du monde.
→アフロディナは完全な大人として、彼女の処女性を絶え間なく更新する海から生まれた
→先日
東工大学で行なわれたシンポジウムに通ずるテーマ
未成熟であるまま性的になること
写実的で科学的な正確さ<優美さ、繊細さ ex.極端ななで肩
→美を賛美している作風
"
Vénus Pudica"(慎みのヴィーナス): 右手で胸、左手で秘所を隠す女神の立ち姿の型。des statues antiques に由来する。
②誹謗の裸婦の特徴
真理というthème positiveを暗示していながら、地味で暗い描き方
→真理を賛美しているわけではない。あくまでも作品自体の主題がnégativeであると思える。
裸体なのは「真理」はなにものにも覆われていないことの暗示
裸体であるにもかかわらず官能的要素が薄い
Illustrant cette dureté, la Vénus a perdu ses formes et belles rondeurs dont Sandro l'avait dotée lors de
la naissance de Vénus. Cette évolution est vraisemblablement le résultat de l’influence de Savonarole sur le peintre.
-CONCLUSION
ウフィツィ美術館で初めてヴィーナス誕生を見た時、思わず見とれた。
ヴィーナスは正面をしっかりと見つめ、瞳には生命感が宿っていた。一方誹謗の登場人物たちは伏し目がちのものが多く、瞳は濁っていた。
しかし、私はこの二つの作品に優越を付けることは出来ない。
誹謗はネガティブなテーマであるため地味で暗く、ヴィーナス誕生のような華やかさを持っていない。しかしヴィーナス誕生と同様に社会へのコミットメントが感じられる。
私は、世の中で評価されている芸術作品には必ず社会へのコミットメントがあると思う。
ウォーホルが資本主義社会の大量生産性に注目したように、
ヴィーナス誕生はキリスト教の抑圧から解放されたルネサンスの享楽的な人文主義を表現しているし、誹謗は自分の支持する思想(サヴォナロールの厳格な神秘主義)への批判に対する反抗の表明である。
彼は、それが少数派の意見であったとしても最後まで自分の社会に対する主張を絵画に投影していたのだと思う。