Balthus (1908-2001)
Thérèse rêvant, Balthus, 1938
Balthus, La Chambre, 1954, 642 x 521
「バルテュスの作品は観る者をして不健全な、歪んだ夢想へと誘い、肉体を惑乱させる。しかしバルテュスのエロティックな絵の中には、奇妙なことに、性行為そのもの、すなわち暴力・侵犯はどこにも描かれていない。あるのはただ行為の<後>か、もしくは<前>の場景だけであり、真の行為者は画面のどこにも登場しない。作者のバルテュスの位置は現場の蔭でそれを覗き見する、もしくは想像するだけで甘んじる Voyeurの域を越えない。そこに感じ取れるのものは罪の意識であり禁忌の感覚である。エロティシズムを永遠ならしめるためには、この二つの要素が必要であるという巧妙な詐術をバルテュスは存外心得ているのではなかろうか?」
(「不滅のエロティシズム」生田耕作 美術手帳1984.8より)
2010-04-03T15:04:29+09:00
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