7月22日
ウィーン7日目
かつてフロイトが住居兼診察室として使っていた場所。
大学受験の頃に倫理でフロイトを知って、大学生になる直前の春に調布の図書館から彼の著作を借りて読んだ。その本の題名も忘れたし(たしか女性の人の精神分析をしたら彼女の撹乱の原因が幼少期の出来事だったという話が含まれていたと思う)、最後まで読んだのか途中で止めたのかも覚えていない。
階段の横の壁に書かれていたフロイトの言葉。
We (...) have been led to distinguish two kinds of drivers. these which seek to lead what is living to death, and others, the sexual drives, which are perpetuall attempting and achieving a renewal of life.
エロスとタナトスの話にリンクできるのかな。
心理学用語辞書とやらを出版したRichard Sterbaの手帳。
著名人や知識人のプライベートな一面を覗くのはエキサイティングな行為ですな:D
ここはフロイトの思想を深く知るというよりは彼の遺作を通して彼の興味や人となりを知れる場所。例えば、彼の三大好物は旅行と骨董品収集と喫煙だったとか、エジプト文化に強い影響を受けていたとか。
フロイトの著作がたくさん並んだ本棚があって自由に読むことが出来たのだけれど、私は唯一日本語で書かれていた「フロイト著作集8」(人文書院)をパラパラ読んだ。
これは彼が家族や友人に宛てた手紙を集めたもので、大学生の時に書かれたものもある。私は旅に出てから家族や何人かの友人に絵葉書を送っているのだけれど、そこに書いた文章とは比べものにならないレベルの文筆力と知的な内容に愕然。
なんだか可愛らしかった部分を抜粋。
短期間のうちに、知識を大きなスプーンでせっせとすくい取らなけばならないので、分り易い手紙を書く暇がまるでありません。
しかしながら当時の恋人マルタ(後の妻)に宛てたラブレターが熱烈で重く、幼稚な独占欲すら感じられて意外だった。恋愛に対しても客観的で淡泊な人だと思っていたのに。